塾の勉強と料理は同じ?
この数年、私に新しい趣味ができた。料理である。出張先のマンションで仕事をしながら料理を作っている。これは実に楽しい。仕事に熱中しているとときどき失敗するときもある…。
日本料理から中華料理、イタリア料理、インド料理、それにフランス料理まで作る。フランス料理の真似事をするというと、「エッ!」と引かれるが、フランス料理も単なる料理の一つに過ぎず何も特別なものではない。ウソだと思うならフランスに行くといい。彼らは毎日フランス料理を食べている?(はず)
何でも凝り性の私は、テレビで料理番組を見ればすぐにメモるし、雑誌に好きそうな料理の作り方が書いてあれば、それをすぐに作る。また、馴染みのお店で美味しいものが出されると作り方を聞く。
たいていの料理人は作り方を教えてくれる。馴染みの客ということもあろうが、料理人の自信であろうか。逆に教えてくれない料理人は自信がないのかも知れないと、勝手に想像している。
蕎麦うちの世界では「神様」のように思われている「高橋さん」が、テレビでダシの作り方をすべて公開した。スタッフが「全部見せてもいいのですか?」と逆に心配した。そのとき彼いわく、「同じ味を出せるものなら出してみろ!」
それぞれの料理にはツボがある。例えばパスタだと乳化である。サラダオイルとワインの比重が違うものを、いかに上手く混ぜ合わせるかである。驚くことに「乳化」を知らないイタリア料理人もいるそうだ。中にはフライパンを振れない料理人さえいると聞く。
フランス料理では、基礎となる「ミルポア(玉ネギ・ニンジン・セロリをバターで炒めたもの)」をどれだけ上手く作れるかである。現在、ミルポアからポタージュを作っているお店がいかに少ないことか。
流行っている店でも、業者の作った料理を皿に移し変えているだけではないか?と感じさせるところもある。これは洋食とか和食とかのジャンルに関わりない。
日本料理は特に難しい。ダシにする昆布の取り出しタイミング、削りカツオの茹でる時間。また、煮魚の茹で時間など…。これは素人にはなかなか分からない。煮方が料理長の次のランクであるのもうなずける。ただ、魚を煮付けする場合、「湯通し」をするだけで、あの特有の臭いは消える。
どの料理でもいろいろ作っていると、一つの結論にたどり着く。料理は「ネタ」と料理をする者の「工夫」であると…。
ここまで書いてハッと気づいた。確かこれは何かに似ている…
「塾の勉強」とまったく同じような、違うような…
2008年7月